金融危機の影響が実体経済へも及ぶ中、自動車産業への打撃は甚大だ。世界最大の自動車マーケットである北米市場の9月度販売台数は26.6%減少し、ここ50年来で最低の結果となった。深センの各自動車ディーラーを調査したところ、ここ2ヶ月の自動車販売台数は前年比10-30%減少している。メーカー側も様々な手段を講じて消費者を惹きつけようとしているが、多くの市民は今「様子見」状態のようだ。
1・市場直撃
・「消費者は手を出さない現状」
9日午後、香蜜湖にある自動車販売店のうちの一つ、ドイツ自動車メーカーの4Sディーラーを取材した。ここを訪れた時ショールームには人影がなく、数名いる販売員も暇そうな面持ちで入り口に立ち、客の訪れを待っている。一名の客が入ってくると、販売員はすかさず近づいて行った。取材中、販売員はここ最近の苦悩を語った。「07年9月には30台売ったんですよ、でも今年の9月はたったの8台。10月には12台売ったけれど、今月はおそらく数台しか売れないでしょうね。3ヶ月の販売総数を足しても、昨年の1か月分にもならないですよ。」彼によれば、9月10月同販売店ではどのクラスの車種も軒並み不振で、特に排気量の大きいタイプは消費税の徴収が始まってから一気に販売が落ち、前年の半分にまで減ったという。
世界同時不況は特に高級ブランド車へ大きく影響を及ぼした。高級外車を専門に取り扱う代理店では、顧客が約3割減少した上、なじみ客も今は買い控えているという。しかし、現在の販売台数は減少しているものの、取材に訪れた多くの販売店、代理店では「深センの自動車需要はこれからもっと増えるはずだ」と自動車産業の今後へ強い期待を抱いていた。
・「値引きによる利益圧縮」
多くの販売店では、国慶節後に価格値下げや販促サービスを行った。ある販売員によると、毎年7,8月に自動車価格の見直しを行うのだが、今年は6月の段階ですでに自動車販売が停滞気味であったため、価格見直し時に大幅な値下げに踏み切り、販売台数を伸ばそうとした。
「この輸入車は上半期と較べると2万元も安くなっています」某日本自動車メーカー4Sディーラーの販売員によると、同メーカー車は4,000元−2万元の値引きを実施。販売促進のためにアフターサービスの無料延長や更なる価格の引き下げもありえるという。また、某他メーカーでは、1日50元、頭金5,000元、即金支払いで更に3万元の値下げ、等のサービスで顧客を呼んでいる。現在、多くの販売店では08年年初に決めた目標販売台数を達成できる見込みがなく、中には販売目標の下方修正を公表する販売店もある。
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「私達の販売台数も減っています」 9日、深セン市内の大型中古車販売店で取材を行ったところ、新車販売台数減少の余波は中古車販売にも及んでいることが分った。
9日午後3時、香蜜湖にある中古車販売店を訪れた。販売場には様々なクラスの自動車が所狭しと並んでいる一方、客の姿は見当たらない。販売員たちは売り場の入り口のところで雑談をして時間を潰しているようだ。欧雅中古車販売の社員は「前月より10%も売上が減ってる」と明かした。
羅湖の桃園路にある和合中古車販売の責任者によると、深セン中古車市場の顧客のうち約30%は周辺地域から来る客、例えば東莞の中小企業オーナー等だ。しかし、世界同時不況発生後はこれらの客層が激減。顧客の購買力も低下しており、10万元前後のエコノミータイプに人気が集まっているという。また、高級車の中古車マーケットにも変化が生じているという。「前は社長クラスの人なら1年に何度も車を乗り換え、しかも古い車を売るようなことはなかったよ。でもここ数ヶ月というもの、新車購入後にそれまで乗っていた車を売る人が大分増えたね。」
2・市民の心理
・「もっと値が下がってからにしよう」
「今これだけ下がっているなら年末にはもっと下がるんじゃないか?」「もう少し様子を見てから決めよう。」不況のあおりを受け、多くの市民は目下「様子見」の状態だ。
会社員の何小敏さんは家族の協力の下、10万元以内のエコノミータイプの車を一台購入する予定だった。しかし、自動車販売店を回って気が変わった。「販売店同士が値下げ合戦をしているんだから、年末にはもっと下がると思って。もうしばらく待ってみます。」某4S販売店に車を見に来ていたウ海源さんも同じ考えだ。昨年龍崗に家を買ったのだが、彼女の職場は福田区にある。毎日バスでの通勤に2時間以上費やすという。「車があるとやっぱり便利でしょうね、近くに住んでいる同僚は職場まで車で通っているけれど20分で着くんですって。」ここ1ヶ月ほど、彼女は販売店を回り様々な車に試乗。すでに10万元前後のエコノミータイプに決めている。「年末まで待ってみて、値段が下がったら買うわ。」と笑いながら話していた。
ある販売員は、自動車市場は不動産市場の影響も受けると言う。ここのところ特区外にマンションを買ったというホワイトカラー層が車を見に訪れる事が多いという。しかし、ほとんどの場合は「下見」程度で、本気で買おうと思っている人は少なく、ほとんどが「いつ買うか見定めている」客だ。
・「給与が下がったら維持できない。」
「もともとは車を買うつもりだったんです。ただ、急に経済が悪化したので車を買っても維持できなくなるかと心配になって。」外資系企業で働いて3年になる胡方舟さんの家は蛇口。しかし、職場が羅湖の地王大厦にあるため毎朝1時間半も満員バスに乗らなくてはならないのが苦痛だ。数年働いて預金も増えたので、10万元前後の自動車を購入しようと考えていた。
しかし、世界同時不況は例外なく彼の所属する貿易物流企業へも影響を及ぼした。10月、彼の会社は世界で数千人のリストラを断行。彼はリストラは免れたものの、おそらく給与カットは避けられないだろうと考え焦り、自動車購入の件もこれで止む無く延期した。胡さんは、「購入費用はあるんですが、自動車を維持していくのも簡単ではありませんから。1ヵ月で最低でも1,000元はかかるでしょう。給与削減にあったら維持しきれません。」
取材を通じて、多くの深セン市民が胡さんと同じ考えであることが分った。ガソリン価格も上がり、駐車場代金も上がり、その他保険や修理費用も人々を悩ませる。収入が上がる見込みのない中、日常生活のコストが上がることを心配して自動車購入を諦める。人々のこのような心理には経済状況が大きく影響を及ぼしている。
3・業界の視点
深セン自動車ディーラー協会 秘書長 陳逓紅
・「マネジメントの細分化とマーケティングの細分化」
「自動車販売は基本的には良い方へ発展して行くでしょう。」陳氏はインタビューに応じ、このように述べた。世界同時不況が欧米の自動車マーケットに及ぼす影響に較べ、中国の自動車マーケットに及ぼされる影響は少ないと言う。これは、安定的な中国の経済発展モデルによるものだ。現在も、中国の自動車市場は拡大傾向にあり、今はただ成長が減速しているに過ぎない。また、深セン市の自動車市場も不況の影響を受けてはいるが、長い目で見れば大きな潜在的マーケットが存在しているという。
陳氏は深センの自動車保有量について、その増加スピードは非常に速いが、1,200万人の人口からすると100万台という自動車保有量は世界水準に遠く及ばないと指摘。30年間の改革を経て、深セン市民一人当たりの収入増加には目を見張るものがあり、「個人所得水準と自動車保有量をみると、まだまだ需要はある。」と分析する。また、現在の販売が停滞している状況に対し、販売店側がマネジメントやマーケティングの細分化を行うことを推奨している。「準備に余念のない企業にとって、今はまさに発展のチャンスなのです。」
自動車アナリスト 葉恩科氏
・「アフターサービスと口コミ評判が難局を乗り切る鍵」
「アフターサービスをしっかりする。口コミは自動車関連企業が‘厳しい冬’を越えるのに最も有効です。」販売台数が低迷する中、葉氏はディーラー各社はアフターサービスを充実させ、顧客のリピート率を上げることが重要だと指摘する。自動車販売が好調な時、販売店はアフターサービスを軽視しがちだ。顧客はサービスの良い他店へ流れてしまう。しかし、販売が低迷する状況では、顧客の流失を防ぎ、アフターサービスで評判を獲得していかなくてはならない。アフターサービス市場でシェアを拡大して行くことこそ難局を乗り切る最善策だ。ディーラー各社は自動車回りの小物商品や保険、美容、中古車、等新しい利益獲得の手段を探すべきだとしている。
更に、葉氏はディーラー各社にキャッシュフローと在庫管理を徹底するよう指摘している。08年1−9月の販売実績をみると、ほとんどの自動車メーカーが販売目標を達成できていない。ディーラーにとって在庫プレッシャーは常態化し、銀行の締め付けが強く借り入れが困難な今、現金資金の流れをしっかりと管理する必要がある。
(シンセンスクエア)


