HIVとAIDSの違いをみなさんはご存知でしょうか?HIVとはHuman Immunodeficiency Virus ヒト免疫不全ウイルスの略でこのウイルスの事を指します。そしてAIDSはAcquired Immune Deficiency Syndrome 後天性免疫不全症候群という病気自体を指す言葉です。私たちがエイズと認識しているのは、このウイルスに感染し、或いは発病してしまった人たちです。そしてAIDS患者とHIV感染者には大きな違いがある事をもっと知らなければなりません。
12月1日は世界保健機関(WHO)が定めた世界エイズデーです。世界中に蔓延しつつあるこの病気についてもっとよく知る事は、病気に対する防止策であり、患者と感染者に対する差別・偏見を解消するというためにもなります。改めて世界中の人々と一緒にAIDSについて考えてみましょう。
深センにおけるエイズの感染者の数がどのくらいあるか、深セン市では1992年より統計をとってきました。それによると1992年にAIDS患者が僅か1人であったのが、1998年にはHIV感染者が17人、AIDS患者が8人、2001年にはHIV感染者が47人、AIDS患者27人、更に2002年にはHIV患者は144人、AIDS患者は28人という3桁を記録するまでになり、それ以降今年は92年からの総数の41%に当たる573名ものHIV感染者/AIDS患者が記録されました。疾病予防コントロールセンター(CDC)は高い危険性を持ったグループから、妊娠している女性や全ての年齢層に点在している症例ケースによって一般層への広がりを警告しています。

ではHIV/AIDSとはいったいどんな病気なのでしょう?
HIVに感染しても発病するまでに数ヶ月から十数年という長い潜伏期間があります。発病するとウイルスは免疫機能を低下させ、普段はかからないような病気、あるいはかかってもすぐに治ってしまうような病気に次々と感染するようになり、重篤な合併症状を引き起こし死に至ります。現代医学ではこれに対する完全な治療法はまだ見つかっていません。しかし病気への理解が足りなかったり、HIVに感染しても発病しない限りは通常の社会生活を送る事が可能なため、本人が気づかず2次感染や発病を早めてしまっているのです。
<感染経路> HIVは空気や水に触れるだけで死滅してしまうほど感染力が弱いウイルスです。軽いキス、抱擁、風呂・サウナやプールの共用、咳、くしゃみ、汗にふれる、一緒に食事をしたり、スポーツ、学校や職場、洋式トイレの便座などでは感染しません。
①性行為 HIVは粘膜や粘膜にできた傷、皮膚の傷口などから血液・精液・膣分泌液を通して感染します。性行為は口の中や膣、直腸やペニスの先端、尿道など粘膜を接触させるといった機会が多いために最も感染しやすい行為となります。
②輸血と非加熱製剤 HIVに感染している人が献血した血液あるいは非加熱製剤をを輸血されてしまった場合、感染してしまいます。献血ではスクリーニングと呼ばれるHIV抗体の検査を行っているのですが、このスクリーニングをすり抜けて陰性を示す場合(HIVは感染して後、抗体ができるまで約3ヶ月かかります。この間は検査をしても陰性と出てしまうのです。)があるため、現在でも輸血血液でHIVに感染する人が確認されています。また同じように非加熱製剤(血液から造られ、血友病の患者用に使用される事が多い)の中にもHIV感染者の血液が混入し、患者への感染が起こっています。
③母子感染 近年世界的に増加傾向にある感染経路です。母親がHIV感染者の場合、胎内や出産時の産道または出生後の母乳から赤ちゃんに感染します。
④HIV感染者との注射針の共有 麻薬・覚せい剤の常習者に多く、極めて危険です。
<感染から発症するまで> HIVに感染しても体にこれといった変化はないのですが、一部に38度以上の発熱や頭痛、喉の痛みなどといった風邪の症状に似た症状が2~4週間も続く事があります。しかし、HIVウイルスは感染しても抗体が体内で作られるまでに約3ヶ月かかるため、この期間は血液検査をしても陰性と出てしまいます。「ウインドウ期間」と呼ばれるこの期間に発熱、喉が腫れるなどといった症状が出ても風邪と診断されてしまいます。
その後は自覚症状がでない無症状期間が約10年は続くといわれています。この状態の人を「無症候性キャリア」と呼ばれ、全く普通の人と同じに生活できてしまうため、HIVに感染したと気がつかない場合があるのです。この期間に献血、性行為、出産などといった事で更に他者への感染を広めてしまう危険があります。
しかしこの潜伏期を過ぎると徐々に免疫機能が低下していきます。普通の健康な人では感染症を起こさないような微弱な病原体によってさまざまな病気を併発します。カリニ肺炎、カポジ肉腫、HIV脳症、カンジダ症など多くの病気を発症し、医師が「エイズ発症」と診断した場合、エイズと呼ばれるようになるのです。
<治療薬> 現在、ウイルスを完全に駆逐する療法はみつかっていませんが、世界的に行われ、画期的な成果を上げているのはカクテル療法・HARRT(多剤併用療法)と呼ばれる方法です。これは最低3つの薬を組み合わせ摂取する事でウイルスの増殖を阻害します。これによって発病をかなりの時間遅らせる事に成功しています。感染=死という概念から脱し、感染してもしかるべき治療を受ければ延命できる事をもっと広く知る必要があります。
抗HIV薬 核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロアテーゼ阻害剤の3系統の16種類があります。 厚生労働省エイズ治療薬研究班
<HIV/AIDSへの理解と協力> エイズは限定した行為によって感染する事がわかっています。自らの行いによるものと恐ろしく悲劇的巡り合せのもの。そして無知から引き起こされるものがあるのです。そうした病気に対するさまざまな側面を理解し、病気に対する知識を得る事で私たち自身もHIV感染から免れる事ができるのではないでしょうか?
11月25日付けの北京青年報によると中国国内でのHIV感染者は、今年10月末時点で累計18万3733人(うちAIDS患者4万667人)に上り、1万2464人が死亡した事を明らかにしました。中国国内でのHIV感染者はこの2年間で約10万人もの増加となっており、推計では感染者実数は100万人に上る見込みとされています。 北青網-北京青年報
また11月27日付けの浙江新聞によれば中国の女子大生で初めて自分がAIDS患者である事を明かした朱力亜(zhu ki ya)さんが、浙江省杭州市にある浙江省中医薬大学の教壇に立ち、学生に対してのエイズ予防講座を行いました。彼女は湖北省武漢市で大学生活を送っていましたが海外留学生の恋人からHIVに感染しました。その後自らがAIDS患者である事を明かしてAIDS予防のための宣伝活動に積極的に取り組んでいます。彼女は自分と同じ道を歩く事がないようにと学生たちに呼びかけて自らの苦境な体験を語りました。 浙江新聞
こうした中国でのHIV感染者の増加をニュースで知る事が多くなりましたが、同時に日本国内でも10代20代の感染者が増えていると言います。それは病気への理解が不足しているといわざるを得ません。もっと多くの人々が病気と、病気が持つ特性を理解し、偏見や誤解だけの知識や情報から真実に目を向けなければならないでしょう。 API-Net エイズ予防情報ネット CAI HIV感染者・AIDS患者に対する偏見・差別の払拭を、感染者・患者と共に考え、社会的啓発活動を"楽しみながら"行う大学生/OB・OGを中心とした団体です。バーチャルHIV抗体検査やSTD抗体検査、コンドームの正しいつけ方など、HIV/AIDS啓発活動が主体です。
(シンセンスクエア)
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